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宮城興業の隠された歴史 番外編3

このシリーズの最後に何故社名が「宮城興業株式会社」なのかのお話をします。以前から初対面の方に名刺を差し出し、「宮城興業株式会社の○○です。」と名乗ると「ああ、宮城県からですか~」から始まり、「芸能関係か何かですか?」「建設関係?」はたまた振り向いては、ほおに人差し指を走らせる(ヤ○ザじゃないわい)人までいるわけで、私は長い間、社名には強いコンプレックスを感じていました。山形で靴を製造すると決めてからつけた社名なのに何故「宮城興業」だったのか?

 結論から言うと、これを命名した創業者であり祖父の高橋明良以外に誰も知らない永遠の謎となってしまったということです。私が修行を終えて会社に入社したころには、祖父はすでに他界しており聞けずじまいでした。父や古くから働くものに聞いても誰も知りません。旧「宮城工業」→「宮城興業」=自然な流れ。としか捉えてはいなかったようです。はたしてそうでしょうか?隠された歴史に書いた通り、靴一本に絞ると決めて付けた社名です。普通ならばせいぜい「宮城製靴」または「宮城シューズ」であり、もう仙台には戻らない覚悟もあったでしょうから、そこは「山形製靴」か「山形シューズ」であるべきです。では何故「宮城興業株式会社」だったのか?私なりに独自の推理をしてみたいと思ったのです。

 推理1---祖父は、靴一本に絞るといいながら、実は将来の「山っ気」が抜けず、チャンスがあれば又なにか他の事業を起こそうと企んでいた。→→→だから興業→→→興業とは業を興すですからね!

 推理2---宮城というのは県名からではなくなにか別の意図からきているのでは?

---現代の人は天皇陛下がお住まいのところを普通に皇居と御呼びしています。ですが、古くは宮城(きゅうじょう)と呼んでいた時代があります。昭和の初期生まれまでの人はそういっていたはずです。そしてなんと疎開先の地名は山形県宮内町(現・山形県南陽市宮内)。つまり宮内庁に通じます。さらにさらに明良が靴一本に絞ったころに靴につけていたブランドこそクラウン、つまり王冠です。明良は宮城という言葉にロイヤルの香りを感じ、一つのステータスと考えていたのではということです。にしても真実はすでに闇の中。知ることは出来ません。

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赤湯の第二工場。ミシンが整然と並んでいます。

 1970年代に、CI(コーポレートアイデンティティ)なるものが大流行しました。この時期に多くの企業が名前を変更しました。横文字が多かったと思います。私が3年間修行させていただいた旧・日本製靴株式会社も株式会社リーガルコーポレーションに改めました。かねてから古臭い社名だと思っていたところですから、当社もこれにあやかろうと社員から公募したりし、最終的に残ったアイディアが「多く歩く」と「丈夫」の意からTUFFという名でした。株式会社タフコーポレーションにしようと計画しました。しかしいざ動き出してみると結構費用がかかることが判明し、それではいっぺんにやらずに出来るところからというので、済し崩し作戦に打ってでたのです。登記を変えたり広報したりせずに、まずは既成事実を積み上げる作戦です。

 最初にやったのは各人の名刺に宮城興業とタフコーポレーションのダブルネームにしたことでした。当時は送迎用のバスも所有していましたから、バスの横のネームもタフに切り替えたりしました。当時、私の苗字は高橋ですが、町うちでは宮城さんと呼ばれることが多かったのですが、次第に作戦が功を奏し、タフさんと呼び止められるようにもなってきました。今なら電話の応対で「タフコーポレーションです。」と言っても間違い電話だと思われないほどに浸透したなと思っていた頃、突然反対運動が起こったのです。20代の若者たちからの「宮城興業」の社名のほうが重々しくて良いという意見です。

 私ははじめ耳を疑いました。あれほどコンプレックスを感じていた社名です。世代が違うと、こうも感性が違うものかと。その後、しばらくの時間があり、当社がオーダーのサービスを展開し、当社最高級の商品にMIYAGIKOGYOの名を冠したものを上梓するに及び、私もつくづく「宮城興業」という社名の由来とそこに隠されたなんらかの感性を考え始めたのです。

いまやグローバルの時代になり、その名を残したのが本当に良かったと思える日が来るのを・・・。

 

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