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KAZの靴の聖地・漂流記XXXIII

この滞在記も綴り続けているうちに33話目になってしまいました。ごく一部の人しか読んでいただけていないのは合点承知の助ではありますが。そんなことで今回を持って最終話とさせていただきます。

198610月となり、いよいよKAZの帰国の時となった。つらく厳しい1年間だったがそれ以上に収穫の多い1年間でもあった。到着4日目に逃げ帰ろうとしたことも、半年後には極度のホームシックにもなり軽度のノイローゼにもなった。でもそれを乗り越えた今になれば、それも良い経験だった。

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バーカー社内のすべての人たちに感謝とお別れの挨拶をし、記念写真などを取り、またお別れと激励のメッセージなどをもらった後、いよいよ本当の別れの時が来た。KAZが長い間お世話になったゲストハウスの前で送別の時が訪れたのだ。

ウイリアムが毎日飲んでいるベルのウイスキーを持参してきた。KAZのコップにそのウイスキーがなみなみと注がれた。KAZの瞳には、すでに涙が浮かんでいた。ウイリアムも貰い泣きしたのか目は真っ赤になっていた。集まってくれた仲間は一同に言葉が少なかった。もしかすると、「poor KAZ」(かわいそうなカズ)がいつ逃げ帰るのかと心配していた仲間が、よく1年間持ってくれたとの感慨に耽っていたのかもしれない。

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空港まで送ってくれるロールスロイスがいよいよKAZを乗せて走り出す瞬間となった。仲間たちが口々に「負けずに頑張れよ!」「元気でな!」「また会おう」と声を掛けてくれた。KAZは言葉を発することが出来ず夢中で手を振込り続けた。

 


KAZは、このあと空港までの1時間、声を出して泣き続けた。

人生であれだけ泣いたことはないという。

涙が1リットル以上流れたともいう。

無我夢中の時もあった。辛かった時もあった。

望郷のあまり英国を恨んだときもあった。

しかし、代えがたい経験をした。

日本にいるだけでは決して出来なかった経験だった。

それらすべての経験がKAZを鍛えてくれた。そして少しだけ大人にしてくれた。

 

英国よ、ありがとう!靴の聖地ノーサンプトンよ、ありがとう!

ウイリアム、レズリー本当にありがとうございました。

バーカー社の皆さん、お世話になりました。

空港についても、目をはらしたまま、言葉も発せられずにいたKAZ。

1年前に空港まで迎えに来てくれて、今回の帰国の際に運転をかってくれたフレッドはそんなKAZを静かに見守り、見送ってくれたという。

KAZの靴の聖地・漂流記 了


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