« KAZの靴の聖地・漂流記、帰国編3 | トップページ | KAZの靴の聖地・漂流記、帰国編5 »

KAZの靴の聖地・漂流記、帰国編4

 Photo_2 KAZは、ファクトリーショップ『タフ』1号店の初代店長に就任した。(後にも先にもここ一店舗しかないのに1号店とはこれ如何に)

 ショップを作ったはいいが、KAZは、困っていた。当時の会社は、完全な下請けが6割で残りの4割は相手先ブランドの生産、つまりOEMである。自社商品がないのだから売るものがないのである。売るものがないのにショップを開いてしまうあたりが、おバカなKAZらしいところでもある。まずは形からなのだ。メンズライクな女性ものなら若干作ってはいたものの所謂レディース向けという商品も手掛けていない。ショップとなればお客さんの半分は女性なわけで、その人たちにも売るものがない。取り敢えず女性向けのエレガントな商品は仕入れすることにした。そして主力の男性用は、出荷前のOEM商品を一時借りてショップに並べ、出荷時期が来たら、また別の商品に切り替える作戦である。一応、店らしい格好にはなった。しかし、問題は仕入れた女性向けの商品は良いとして、主力の男性には何を売って商売をしようとしていたんだ?という疑問。

そこは、商売上手のKAZです。男性のお客さんが来たら、取り敢えず並べてある商品を見せておきながら、

「申し訳ございませんが、こちらは販売出来ないんです」とまず言う。するとお客様は

「はあ?・・・」するとすかさずKAZは、

「もしよろしければ、私がオーダーでお客様のお好みの一足をお作りいたしますが?・・・」

という商売である。つまりオーダーメイドの商売である。

 

結論から申し上げましょう!

このオーダーメイド商売の商売は、大失敗に終わりました。

・・・・「あ・あ・悲しい」・・・・

今になれば「ああ、そういうことね!」と合点もいくのだが・・・。

当時のKAZは、せっかく英国に靴作りの修業に行っていたのに、英国のビスポークという概念のことを全く知らなかった。滞在中に何度もロンドンを訪れてもいたのに、結局、セント・ジェームス宮殿前のビスポークの老舗ジョンロブ・ロンドンの前を通り過ぎたことはあっても店の中に入ることもなかった。何だろう?敷居が高かったせいもあるが、興味がないというか?別次元の店であり、学ぶべき対象とは考えていなかったのだ。但し、この店は、『英国王室の御用達でオーダーで靴を作るんだが、1足目では、ぴったり合う靴にはならず、最低3足は作らないといけない』らしいという変な情報だけは、知っていた。KAZが、学ぼうとしていたのは、工場生産の靴であり、量産靴のデザインだったりブランディングであったりが中心と捉えていたのだ。

ビスポークという語源は、『Be spoken』から来ているという人もいるぐらい、お客様と作り手がお互いに話し合いを十分行って、お互いに納得した上で、実際に靴の製作にかかると言われている。だから出来上がってから言ってない&聞いてない等のクレームが起きないようにしてあるのだ。これから作るもの=まだ形のないものを創造&想像することは、お互いに難しい。作りてはお客様の頭の中身を完全に理解するのは無理なわけでその逆もしかりなのだ。だからこれでもか!というぐらいにコミュニケーションをしないとクレームの嵐になってしまう。

もう分かって貰えたはずです。KAZの場合、このコミュニケーションを十分に行わないでオーダーの商売を始めてしまったのです。

KAZの頭の中はこうでした。お客様が来る。デザインの要望を聞く。革を選んでもらう。足を測る。すると「OK!後は私に任せてください!」と言って自信満々。価格もその当時でも破格の2万円~3万円。この価格でオリジナルの靴を作って上げてやる。でもラストを削るほどではないから、工場にあるラストの中から適当に合いそうなのを選ぶ。パターンは得意。多少足に合わなくても、それはジョンロブ・ロンドンでさえ1足目からは合わないと言ってるんですからと開き直る有様。こんなんだったんです。

「でもね!お客様の半分以上はすごく喜んでくれたんですよ!」

「その場で、もう1足作ってという人もいました!」

「でも、半分近くの人が、店で怒り出すんですよ?」

「こんな靴、注文した覚えがない!ってね!」

「こんなにカッコよく!それもこんなに安く作ってくれるところ、ありませんよ!ってね」

「これが、分かってくれないんだよなー!」

 

こんな考えだから失敗したんですよね!

 

To be continued

|

« KAZの靴の聖地・漂流記、帰国編3 | トップページ | KAZの靴の聖地・漂流記、帰国編5 »

社長のつれづれ独り言」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: KAZの靴の聖地・漂流記、帰国編4:

« KAZの靴の聖地・漂流記、帰国編3 | トップページ | KAZの靴の聖地・漂流記、帰国編5 »