カテゴリー「社長のつれづれ独り言」の記事

STリラックス・開発秘話 16

 「靴」という足を守るべき商品を作り、それを販売することによって経営を続ける会社。その商品を毎日真面目にコツコツと作り続ける社員。そしてその社員たちの生活を守る為にリーダーシップを発揮し全責任を負う社長。

その社長の信じられない発言。

「裸足が、足にとっては一番良いんです!」

自らの首を絞め、天に向かって唾を吐き、会社の存続まで脅かし、業界全部を敵に回すお言葉。もう一度言うよ!「裸足が、足にとっては一番良いんです!」

「キャー!!!!!!」失神

靴そのものを否定する概念。いやいや完全否定。

「否定のし過ぎやんか?靴いらんやん!」(なぜか関西弁)

 

では、何でカリスマ先生は、当社のSTリラックスを「まさに裸足で草原を歩いている感覚の靴なんです!」と評価してくださったのか?答えはやはりインソールにあったようです。ドイツ靴は通常コルク性、一方当社のSTリラックスの物は、発砲したウレタン素材。その柔らかさ故に開発当初はにドイツ・コンフォートシューズを主に扱う店の店主から「おたくの商品はコンフォートシューズとは呼べない!」「偽物だ!」「インソールが柔らかいコンフォートシューズなど駄目だ!」と言われ否定され続けた柔らかいインソール。

しかし、その柔らかいインソールこそが、再評価される原因となったのでした。

 

私は、いまでもドイツが考え出した本物のコンフォートシューズは素晴らしい商品だと思っています。特にファッション性に寄りすぎていた過去の靴の概念を否定し、医学会と手を組んで世界でも唯一無二の商品を開発し、生き残りを掛けたプロジェクトには敬服します。いまでもドイツの靴業界の人たちは「靴」に対してこの小さなものには無限の可能性を感じるといって憚らない人たちが大勢います。

 

そのドイツの靴業界の努力を意気に感じ、ここで私は、大きな声でモノ申したい!

日本の業界にも、普遍的な価値を持てる唯一無二の「日本の靴」を作っていこうじゃないか!

と呼びかけたいのです。

 

最近、私は当社のSTリラックスが再評価されたことを私なりに考えています。

多分ですが、ドイツ靴はちょっと強めの薬なのだと思います。なので効能は確かですが、若干、副作用があるのかも知れないと思うのです。一方当社のSTリラックスはかなり弱い薬なのかも知れないのです。

化粧品にたとえると、限りなく水に近いもの。

お薬にたとえると、限りなく小麦粉に近いもの。

効いているのか?効いていないのか?判別不能!でも悪さはしない。副作用もなし。

そんなものなのかも知れません。

 

ここ数年は、靴屋さん以外での取り扱いが増えています。義肢装具士さんだったり整骨院だったりと医療関係の事業所も多くなりました。中には、

「初めは疑っていたけれど、お客さまの反応を聞いているうちに、この靴の良いところが段々と分かってききました。機会を見て論文にするかもしれません」

と言ってくださる医療関係の方まで現れてきています。場所によっては、まだまだ、当社の柔らかすぎるインソールは駄目といって、お客様には、違う固めのインソールに替えてから販売しているところもあるようです。

その場合、是非お願いしたいのは、

「ちょっと痛みが出てきたら、この柔らかいほうに替えて履いてください!」と付け加えて欲しいのです。

 

当社のSTリラックスは、開発者も不思議に思うほどの抜群の履き心地を提供してくれる靴です。

当社を代表する商品です。これからも新しいデザインを加えながらお客様に長く愛してもらえる商品として大事に育てていきたいと思っています。

 

これにて当社STリラックスの開発秘話 全話終了

ご精読に感謝します!

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STリラックス・開発秘話 15

 

 ここまでお話ししてきました、当社STリラックスの秘話ですが、読者の中にはどうも10年にわたりドイツ・コンフォートシューズを売り続けて来た店主、それに続き、外反母趾関連では一番の権威であるカリスマ先生からのお褒めのお言葉の件(くだり)は「嘘くさくて信用ならん!」とお思いの方。まだまだ大勢いらっしゃるのでしょう。それは仕方がございません。なにせ、このお調子者の私・宮城興業の社長が語っていることですから!今更「証拠を出せ!」といわれても、当時話を聞いたときの録音テープがあるわけでもないのですから、証明など出来るはずもございません。

なのでもう一度言います。

いいんです信じてもらえる人にだけ信じて貰えば!

「嘘つき!」「ペテン師!」「詐欺師!」何とでも言ってください。なんならこのブログ炎上しても構いません。いいんです信じてもらえる人にだけ信じて貰えば!

 

  信じてもらえる人に更に説明を続けます。

 ドイツ靴を説明した、STリラックス開発秘話3の終わりに、ドイツの靴業界は、靴そのものを否定することが、靴業界を救う秘策となると考えた、と書きました。

東京駅・八重洲口でコーヒーを飲みながら、かのカリスマ先生は何とおっしゃったか?

 インドネシアの奥地やアフリカでいまでも裸足で生活を続けている人達の足は、健康で立派であるとわかった研究成果。人間は現在の人間の祖先であるホモサピエンスとなってから、実は何万年もの間は、ほとんど裸足で一生を送る生活をしてきたはずなのです。一部の王族や貴族、さらには軍隊に配属された兵隊たちだけは、何らかの履物を履いていたのでしょう。しかし、一般庶民、イッパン・ピーポーのほとんどの人は、長~い歴史の中でほぼ裸足で生活していたではないか?ということじゃないんでしょうか?普通に靴、特にファッション的な靴は履き始めたのは、何万年のスパンで考えたらほんの一瞬。その一瞬のことで女性の7割のひとが足のトラブルを抱えるようになってしまった。そうは考えられませんか?かのカリスマ先生は、こうおっしゃったじゃないですか?

 

「いいですか?御社の靴は、まさに裸足で草原を歩いている感覚の靴なんです!」

 

ドイツの靴業界と同じ!そう靴そのものを一旦否定すること。

それが大事。

そう「裸足が、足にとっては一番良いんです!」

 

このブログ、日本の靴業界関係者からの攻撃で炎上間違いなし!

最終話につづく

 

 

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STリラックス・開発秘話 14

 

 

 

 

 10年にわたりドイツ・コンフォートシューズを売り続けて来た店主、それに続き、外反母趾関連では一番の権威であるカリスマ先生にまで絶賛(言い過ぎかも)されてしまったSTリラックス。

 今回のブログのテーマはSTリラックス開発秘話。しかし、開発時点では、秘話と呼べるものは全くなかった事実。あるとすれば英国クラークス社の商品をコピーして(いや、インスパイヤ―されて)作られたというもの。読者の皆さんには、開発にあたって「履き心地のいい靴とはいかにあるべきか?」とか「コンフォートシューズを調べつくして」とかその開発に至るまでの秘密を語らなければならないのだが、なんと情けないことに

「そんなものは~無い!」なのであります。

しかし、しかし、このブログを読んでくれている当社・社員に告ぐ!

「そこが一番大事!開発秘話なぞ無かった~ってことが大事!」

 多くの人が、歴史上何かをやり遂げた人(つまり歴史上の人物)を思う時、やはり持って生まれた素晴らしい素養を持ち、そしてその後もたゆまぬ努力をしてきたから出来たと考えたいのはヤマヤマの当たり前。

 でもはたして

「すべての歴上の人物がそうだったのだろうか?」

いやいや

「中には運だけに恵まれた人だっているのでは?」

とここでは、考えたい。

 STリラックスは確かに、発売以来22年間、静かにではあるが売れ続けている当社の看板商品です。ですから、その開発には、相当な労力なり、研究なり、莫大な投資なりがあったと思いたい気持ちは十分に分かります。

 しかし、しかし、その開発者であり現在の社長である私から大きな声で本当の結論を発表しよう!

「運が良かっただけで~す!」

 

つづく

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STリラックス・開発秘話 13

 

 突然、運ばれてきたコーヒーのお皿を叩き出したカリスマ先生が、私に伝えたかったこととは?

 屋根から、一滴づつ落ちてくる雨だれ。そんな一滴が何年・何十年・何百年と同じ場所に落ち続けると、その落ちた先にある固~い石にさえ穴を開けてしまうことになる例(たとえ)。

 

先生は、ゆっくりと話しだされました。

「私は、足に障がいを持つ多くの患者さんの足を見てきました。」

「何故、親指があんなにも曲がり、指の付け根に炎症を起こし苦しまなければならないのか?」

「女性が美しくありたいと願うのは当然のことです。それを否定はしません。」

「だが、今示したように、ちょっとした刺激、これが問題です!」

「少しの時間なら我慢も出来るし、もしかしたら感じもしない小さな刺激かもしれない!」

「これを繰り返していくうちに、それは起こるんです!分かりますよね!」

 

「ハイ!何となく!ハイ!」(私)

 

「私の研究はそこです。何故、そうなるかを調べること!」

「インドネシアの奥地やアフリカまでも何度か足を運びました、研究の為です。」

「その地で、一生靴を履くことなく裸足で生活している人たちの足型を数多く採取してきました。」

「その地で暮らす人たちは、一日におよそ10Kmは歩いているでしょう!」

「その人たちの足型はどれも素晴らしいんです!アーチが立派に形成されており、どれも素晴らしい足形です!」

「私が、今日貴方に会って伝えたかったことは、そのことなんです!」

「靴は本来足を守る為のもの。しかし、逆に足を痛めるものになってしまっている!」

「先ほども言いましたが、多分、貴方は御社の靴のどこが良いのかを分かっていないと思ってます。」

「・・・・・・」(無言ながらその通りですと思っている・私)

「いいですか?御社の靴は、まさに裸足で草原を歩いている感覚の靴なんです!」

「本当に良く出来た靴なのですよ!そのことを是非伝えたかったのです!」

 

「・・・・・・・てへっ!」(私)そして薄っすら涙。

 

つづく

 

 

 

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STリラックス・開発秘話 12

 10年にわたりドイツ・コンフォートシューズを売り続けて来た店主からいただけた、有難~いお褒めの言葉。でも実際は、何故褒められなければならないかも判明しないという複雑な心境。

 『まあ、当社が長年、真面目に愚直に靴作りを続けてきた結果だわな!』と根拠のない自信を持って、ならばもっと頑張って販売を強化しようと張り切っていた時に、またまた、とあるお方から連絡をいただくことになったのでした。そのお方とは、ここでは実名を挙げるのは差し控えるが、今までに10万人以上の足を診察し、外反母趾に悩んでいる女性から今や『カリスマ』としてあがめられているお方からの電話だったのです。

 「一度、是非お会いしてお話したい!」というものだった。

 その当時、頻繁にテレビのワイドショーなどに出演し、『外反母趾の何たるか?と、その治療法』を伝授していたお方である。私も当然知っていたし、その方からの『一度会いたい』の申し出ある。もちろん、すぐに飛んで行ったのであった。

待ち合わせ場所は、東京駅・八重洲口。近くに喫茶店を見つけ、そこでのお話となった。

 軽く自己紹介の後、二人にはコーヒーが運ばれてきた。すると

「貴方の所の靴は素晴らしいね!」とカリスマ先生。

「当社のSTリラックスの事でしょうか?」と私。

「おそらく貴方は、何が素晴らしいか分かっていないんでしょうね?」と先生。

「・・・・・」私。

するとおもむろに、そのカリスマ先生、コーヒーカップが乗っている白いお皿の淵を一緒についてきたスプーンでコツン・コツンと叩き始めた。2~3回叩いたのではない。同じリズムで何十回と叩き続けているのだ。私は心の中で

「何だ、このおっさん、何をおっ始めたんだ!」

「もしかして、このおっさんイラチ(関西の方言でイライラする人の事)!」

などと勝手に想像を始めた頃、

このカリスマ先生、お皿を叩き続けながらこう話し始めた。

「高橋さん!私がこれを続けていたら、どうなると思います」(カリスマ)

「・・・・・???」(私)

1時間や2時間では何も起こらないでしょうね!」(カリスマ)

「では、半年、1年続けたら?」(カリスマ)

「・・・・??」(私)

「では、5年?」(カリスマ)

「間違いなく、このお皿、粉々になるでしょう!」とカリスマ先生。

 

どうやらこのカリスマ先生、私に

『雨だれ石をも穿つ』の話を教えたいらしい!

 

このカリスマの話、続けます。

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STリラックス・開発秘話 11

 そのうれしいニュースとは?ここ十年ドイツコンフォートシューズを中心に販売していた店主からのものだった。この店主からの話も箇条書きに列挙していきたい。

1.コンフォートシューズの概念に触れてから、主にドイツ靴を販売してきた。

2.それ以来、この世にドイツ靴を上回るものは存在しないとの思いで続けてきた。

3.インソールを加工する機械もドイツ製の高いものを購入し、お客様に合わせて加工してきた。

4.お客様は、もちろん大満足する方が大勢いたが、時々は、合わないと再加工を申し出るお客様もいた。その際は、加工技術が未熟ゆえのことと何度でも真摯に対応してきた。

5.そういうことを疑いもせずに何年とやってきた。

6.最近、貴社のSTリラックスの評判を聞いたので、試しに仕入れてみて、何人かのお客様に販売してみた。その後、履き心地の感想を調査するとすこぶる評判が良かった。

7.ドイツ靴と比較すると形は近いがインソールに対する考え方がまるで違うので戸惑っていた。

8.STリラックスが何故、履き心地が良いのか検証するため、インソールに足形が残るような素材を貼ってしばらく履いてもらい、どのようになっているのかを調べて見た。

9.結果、驚くべきことが分かった。STリラックスは、足を理想的な3点支持の構造で支えて呉れていることが分かった

10.一方、ドイツ靴の方は、お客さまによっては、指が浮いていたり踵に体重が乗りすぎたりしていることもあり、必ずしも万人向けとは言えないことも分かって来た。

 

 この店主の話、本当の話なのか?大いに疑わしい。何故疑わしいって?それは当の宮城興業の社長がブログで語っているのだからかなり眉唾ものである。

いいんです信じてもらえる人にだけ信じて貰えば!

「嘘つき!」「ペテン師!」「詐欺師!」何とでも言ってください。なんならこのブログ炎上しても構いません。いいんです信じてもらえる人にだけ信じて貰えば!

 

でも、これだけは言わせてください。この事実を伝えられた当時、何故そうなるのか?を作った当人も

「何故?・・・・」と分からず、ただただ信じられない気持ちでいたのです。

なのでその店主のお褒めに対する返答はというと

「てへっ!」

 

 

つづく

 

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STリラックス・開発秘話 10

 

 コンフォートシューズを扱うプロたちから「偽物」と呼ばれることになった、開発当初のSTリラックス。ではそのまま日の目を見ることも無く消滅してしまったのか?それは否である。今でも当社の売上では主力として位置付けらている商品である。ではコンフォートシューズとして「偽物」の烙印を押されたのにも関わらずそのことを秘して、あまり文句を言わないお客様たちを騙すがごとく販売を続けているのか?これも否である。

では、どうして現在に至るのかを語るとしよう。

開発から10年余りの事象を列挙し、何があったかを具体的に説明することとします。

1.当初、取引をしてくれた100店舗の店は、正直コンフォートシューズの本当の概念はおろか、知識にも乏しかった。

2.なので、何故取引を申し込んできたのか?というと問屋抜きの条件が魅力だったことと、キャンペーンも魅力だったということ。

3.しかしながら、そのような店であったとしても、購入いただいたお客様には、「履きやすい!」と好評で2足目3足目と買っていただけることが多かったこと。

4.それにより当社も次第にやはり何と言われようと良い商品に違いないとの自信を取り戻すことができたこと。

5.特に、叔父である社長は確信をもってこの商品を支持し、経営難の折でもレディスの開発に着手し、更には機能が嘘くさいと見抜き、ドライマックスのブランドを廃し、新しいメンズも費用を掛けて開発したこと。

7.2000年に山形県主催のデザインコンペに叔父である社長が出品した、多目的リラックスシューズと銘打った新たな商品が見事グランプリであるエクセレントデザイン賞を受賞したこと。

8.その際、審査員長をお務めいただいたデザイン界の巨匠、故・榮久庵 憲司氏が当社の商品に目を止め

「この靴は本当に山形県で作られているのか?」

「この靴は、アジア10億の民を客とすべき商品だ!」

とお褒めの言葉をいただけたこと。

9.社長は、このことでさらに意を強くし、誰も知らないポリベルト製法を当社独自のSST製法と呼ぶことし、ブランドもリラックスという商標を大手商社から借りることとしてSTリラックスを正式なブランドとすることとしたこと。

10.年を経るごとに100店舗あった契約店が廃業などの為、減少していくことになり、売り上げの減少が心配されたが、丁度その当時、叔父の社長が引退を表明、私が後任の社長に。叔父は当社を支える目的で販売を引き受けることとなり、大手スーパーの一角を借りて、STリラックスを売る所謂「移動販売事業」を始めることになった。これが、功を奏し当社の主力商品の地位を守り抜く結果となったこと。

11.業界では、STリラックスがやはり新しい製法を取り入れた画期的な商品であるとの噂が広まり、どのように作っているのかを探りに来る人が出てきた。当社は、見学は受け入れたが、その工程だけは、ブラックボックス化し見せなかったこと。

12.それでもやはり、時を経るに従い、機械や材料の開示が進み、当社製品をまねる商品が出回るようになってきた。現在まで、意匠までそっくりの商品が3社から発売されているのも事実であること。

 

 このようにして、何とかギリギリではあったが、当社のSTリラックスは、消滅することなく当社を支える商品であり続けてきたのであった。

 そして、発売から10年が経とうとしていると時に、うれしいニュースが飛び込んできた。嬉しさのあまりに耳を疑うほどのうれしいニュースだったのである。

 

つづく

 

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STリラックス・開発秘話 9

 

折角、社運をかけて開発出来た商品。しかし、それまで取引のあった問屋からは価格面での折り合いがつかず売り込みに失敗。そんな危機的状況を打破すべく発令された「TMP作戦」。結果小売店100店舗との取引開始。こう聞くと起死回生の逆転ホームランのように思えるのだが・・・。

実は、私はすごく悩んでいたのです。この当時、「コンフォートシューズ」が日本でも着目されはじめ、今までのファッションよりの靴の商売に疑いを持ち始めていた靴店、いわゆる「シューフィッターのいる店」「足のお悩み聞きます」「コンフォートシューズ専門店」といったところからは、取引の申し込みがなかったのです。「一度サンプルを見せてくれ?」等の引き合いはあったのです。ですが、結局取引契約締結とまではいかなかったのです。そのことに一抹の不安がありました。これは捨て置けない不安でした。それを払拭するために、なぜ取扱が出来ないのかを詳しく聞く必要があったのです。

結果は散々なものでした。一様に「おたくの商品はコンフォートシューズとは呼べない!」「偽物だ!」「インソールが柔らかいコンフォートシューズなど駄目だ!」というものでした。

つまりこれらの店主たちは、ドイツ靴のコンフォートシューズの理論を真剣に学び、それまでのファッションに寄りすぎた靴の販売が、多くのお客様の足に悪い影響を与えてしまっていたことに強烈な反省をし、ドイツ靴のその普遍的価値に感動を覚え、これからの靴の商売を考える上で、ドイツコンフォートシューズの概念・哲学を取り入れたもの以外は、売らないとまで心に刻んだ人たちだったのです。

このことは強烈な駄目出しでした。コンフォートシューズの概念・哲学も知らず、ただ単にかなり遅めのトレンドに乗っかり、まだどこでも作らない新しい製法の技術を取り入れることが、メーカーとしての責務とばかりに調子にのっていたところに強烈な駄目出しです。コンフォートシューズを扱うプロたちから「偽物」と呼ばれることになってしまったのです。

 では何が駄目だったのか?結論としては、当社のインソールはウレタンを発砲した材料を使用しています。表面はほぼフラットに作られています。一方、ドイツのものは、材料の多くがコルクで作られており、表面は、土踏まずやペロッティと呼ばれる中足骨の下に凹凸が付いているものがほとんどだったのです。

 ドイツ靴が持つ普遍的な価値の重要な要素がここにあります。つまり

1.シューマイスターやオーソペディック・シューマイスターたちは靴をフルオーダーで作ることをしてきた。それは今でもやっている。

2.英国でビスポークと呼ばれる、フルオーダーだけでは、コストも高くなり万人向けにはならない。

3.普遍的な価値を持たせるためには、違うやり方をしなければならない。

4.そこで医学的見地をもって健康をテーマに比較的簡単に足に障がいをもたらさない、更には障がいを持った足でも、それを補強し再形成するための仕組みを作ること。

5.足全体をを3次元で考えると難しいことになる。

6.そこでメーカーで作るものは、初めから足に負担を掛けない形。つまり靴そのものは最低限の機能は有しながらとにかく器に徹すること。

7.インソール(アインラーゲン)を足裏に合わせた3次元化をすること。

8.お店において、スタッフがお客様の足の状態や歩行の癖を観察する。

9.そして、靴店の店主たちが、足の障がいや構造を学ぶことによって、インソールをお客様の症状に合わせて加工できるようにすること。

 

フルオーダーシステムでは、高額になってしまう点や出来上がるまでのリードタイム、などを考慮し世界でビジネスモデルとしても受け入れられるであろう普遍的価値を持ったシステムを考えたドイツ靴業界の決死の生き残り策・戦略がそこにはあったのだ。

 

つづく

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STリラックス・開発秘話 8

 

 当時の私は専務取締役。社長を補佐し会社経営をスムーズに進行しなければならない立場の人間です。自信満々に

「この商品を開発出来れば、会社の経営は一気に回復!」

「多少、開発費は掛かりますが、売れることは間違いなし!」

「あまり売れて、蔵が建ちますよ!ハッハッハッ!」

と豪語していただけにこの営業結果を受けて滅茶苦茶へこんでいたのだ。

しかし、叔父の社長は違っていた。

「逆にチャンスじゃないか!問屋が駄目だった直接小売店に買ってもらえばいい!」

さすが、一流の一橋大学経済学部をご卒業しただけのことはるお方。このアイディアが絶体絶命の危機から会社を救うことになります。社長は正直この商品の一番の理解者でした。繰り返しになりますが、日本ではまだどこも作れなかった製法であり、その機能性の高いポテンシャルに、今後の可能性を信じて疑わなかったのです。

 社長は、命じました。「タフ・ミリオンペアー作戦を実行せよ!」と

タフとは宮城興業が社名を変更する可能性もあるとして考えた名前です。『TUFF』です。

ミリオンペアーとは100万足と言う意味です。そのことがあって現在でもSTリラックスの営業のことをタフ・ミリオンペアーの頭文字を略してTMP事業部と呼んでいます。

 では、その作戦の中身とは?調査会社に依頼をして全国の靴店2000店のリストを購入しました。次にこの2000店の店舗にこの新商品を扱ってもらうべく「ラブレター」を送付しました。ラブレターを送ったぐらいでは反応がないのは分かっています。同時に発売記念のキャンペーンを開催したのです。買っていただいたお客様の中から抽選で山形の物産である「サクランボ」「ワイン」「リンゴ」などが季節ごとに貰えるようにしました。また取り扱い店様の店主むけには、取引額に応じて当地山形の温泉旅館1泊ご招待を謳ったのです。さらにさらに当社は、それまで問屋機能は有しておらず、営業マンも大手問屋さんに売り込みはしても直接店舗に売り込んだ経験はありません。なにせ2000の店舗にラブレターを送ったのですからベテランの営業マンに電話でその後の反響を聞くのも帰って逆効果と考えて、営業などしたことの無い、一般の事務のオバさん達(失礼)にその役を引き受けてもらうことに。

「え~!ワタスだず、標準語などしゃべらんにぇべした!無理だべ!」

と言われましたが、かえってローカル色がでて好感が持てると言って無理くりこの作戦の実行部隊に任命したのです。

 結果、わずか1ヶ月で全国100店舗の店と取引契約を結ぶことが出来たのでした。


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STリラックス・開発秘話 7

 

1997年、開発に10年を要した当社の主力商品の一つであるSTリラックスは、完成し上梓したのである。

厳しい経営が続いていた会社の期待を一身に浴びてのスタートだった。ではその商品、その後は順風満帆だったのか?この件も漂流記・帰国編13話に軽く触れてあるのでここに改めて紹介しよう。

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その結果を先にお教えすると巨額の開発経費を掛けたのにも関わらず当初の販売は全然振るわなかったのだ。社内評価は抜群で、「こんなに履いて歩きやすい靴は今までにない!」「これを売り出したら、たちまち蔵が建つ!」というものだったが、結果はそう甘いものではなかった。本当に評価される商品に育つ為には、さらに10年という期間が必要だったということだけお伝えしておこう。

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そうなのです。期待されたのに関わらずそんなに上手くは事が運ばなかったのです。

会社のHPの会社沿革には、誇らしげに

1997年SST製法によるコンフォート・ウォーキングシューズST.Relaxを開発・発売。

と書かれてあります。でも先に紹介したようにブランド名は「ドライマックス」です。正直にお話しすると1997年当時は、まだSTリラックスでは、なかったのです。歴史改ざんとは、由々しき問題です。でもここはスルーして話を続けます。

 期待を背負って開発した新商品(この時はドライマックス)。私が営業面でも中心となって動きました。当時お取引のあった問屋さんすべてに売り込みを掛けたのです。時はバブル経済崩壊でデフレ経済の真っ最中。確かに値段が安くないと売れない時代でした。しかし、開発に巨額(500万円ですが当社にとっては巨額)を投じ、まだ日本ではどこも作っていない、いや作れない新技術で作られた商品です。安売りは出来ません。しかし、どこの問屋さんに紹介してもどれだけ熱くプレゼンしてもその機能性(通気性は嘘でしたが)や抜群に優れた履き心地を説明しても関心は価格のみでした。いくら商品が良くても価格が気に入らないとのことだったのです。

 当社では、2万円前後の上代を付けても売れると考えていました。最低でも16,800円が下限と決めていました。しかし、相手は、9,800円で売れるならいくらでも仕入れられるが!の一点張りです。結局、どことも折り合いがつかず、私は頭を抱えるはめになったのでした。

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